最低賃金ってなに?

【読みもの】

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最低賃金って?

ニュースで、「最低賃金さいていちんぎんの改定」が話題となりました。

「賃金」とは、働いた時にもらうお金のこと。「改定」とは、変えるということ。

「最低」ってことは、もっとも低いってことだね。

最低賃金とは、「働いた1時間あたりにもらえる最低限のお金」のこと。

その金額を変えましょうということだね。

時給(じきゅう)」という言葉を聞いたことあるかな?

時給は、働いた1時間あたりにもらえるお金

最低賃金とは、「1時間働いたらこの金額以上のお給料が支払われる」というルールなんだね。


これは、誰かが安すぎる金額で働かさせられることがないように、働く人を守るルールでもあるんだ。

最低賃金が1000円だとしたら、1時間働いた人には1000円以上のお金を支払わないといけない。

たとえば300円で1日働かせる…なんてことは法律で禁止されているというわけ。


でもね、「家でお母さんのお手伝いをしたのに100円しかもらえなかったぞ!法律違反だ!」とはならないんだ。

最低賃金は「雇用主(仕事をお願いする人)」と「労働者(仕事をする人)」の関係をしっかり結んだ時に使うルールだからね。

たぬきも子どもの頃は、よく10円でお皿洗いなんかをしていたよ(笑)

本当はお金をもらわなくても自分から手伝えればよかったなあと今は思っているけれどね。

住む場所によってもらえるお金がちがう?

そしてこの「最低賃金」には大きなポイントがあるよ。

それは、「日本で1つの最低賃金の価格が決まっているわけではない」ということ。

なんと、都道府県によって値段が違うんだ。

東京都と北海道では、同じ仕事を同じ1時間したとしても、もらえるお金がちがうということだね。


えー!そんなのずるいじゃん!おかしいよ!

と思った人もいるかもしれない。でもね、これにはちゃんと理由があるんです。

最低賃金は「物価ぶっか」とつながっている


とても簡単に言うと、「都会は最低賃金が高くて、田舎は安い」というのが基本的なルールになるのだけれど、

それはなぜかというと、「基本的には都会で生活する方がお金がかかるから」。


物価(ぶっか)」という言葉は聞いたことがあるかな?

物価とは物の値段のこと。

東京のスーパーで豆腐を1パック130円で売っている時、沖縄のスーパーでは同じ豆腐を100円で売っていたとする。それは同じ商品でも値段が違うということだね。こういう時、「東京は沖縄よりも物価が高い」と言われる。

もちろん、売っているスーパーによって値段はばらばらになってあたりまえなのだけど、

平均して見た時に、都会の方が地方よりも物価が高くなるといわれているよ。


食べ物以外でいうと、「家賃(やちん)」も地域によって大きな差が出る。

家賃とは、家を借りて住む時に毎月支払うお金のこと。

全く見た目も広さも同じアパートに住むとしても、岩手県では家賃が5万円なのに、東京では家賃が10万円かかるなんてことはよくある。


そもそも土地の値段からして、地域によって全然違う。

同じ広さの土地を買うとしても、東京と地方では値段が何倍も、何十倍も違ったりする。

同じ地面なのになぜ?と思うかもしれないけれど、土地はその便利さや「欲しがる人の多さ」によって価値が変わるものなんだ。

「その土地に住みたい!便利!」と思う人が多ければ、高くてもその土地を買ってもらえるから値段が高くなる。

都会は住んでいる人が多いから土地が欲しいと思う人も多いよね。電車などの交通も充実していて便利だから、住みたいと思う人も多い。

だから自然と土地や家賃が高くなっていくということだね。

さて話を戻すと…つまり東京などの都会に住むためには地方よりもお金がかかるってことなんだ。

だから地方に比べて東京は最低賃金が高く決められているというわけ。

都道府県でこんなに違う!最低賃金一覧


ちょうど今月、最低賃金が新しく変わったよ。どのように変わったかと言うと、前に比べて金額が上がったんだ。

都道府県によって違うけれど、全国の平均は1004円。1000円を超えたのは初めてのこと。

それでは都道府県の最低賃金一覧を見ていこう↓

北海道 960

青森 898

岩手 893

宮城 923

秋田 897

山形 900

福島 900

茨城 953

栃木 954

群馬 935

埼玉 1028

千葉 1026

東京 1113

神奈川 1112

新潟 931

富山 948

石川 933

福井 931

山梨 938

長野 948

岐阜 950

静岡 984

愛知 1027

三重 973

滋賀 967

京都 1008

大阪 1064

兵庫 1001

奈良 936

和歌山 929

鳥取 900

島根 904

岡山 932

広島 970

山口 928

徳島 896

香川 918

愛媛 897

高知 897

福岡 941

佐賀 900

長崎 898

熊本 898

大分 899

宮崎 897

鹿児島 897

沖縄 896



どうかな?
一般的に「都市」といわれていて、新幹線や電車などの交通網が発達している東京や大阪、愛知や福岡などの地域は賃金が高めになっているね。

生きる場所によって、物の値段は変わる


さて、今回は「最低賃金」について見ていきました。

住む場所によって、必要なお金は変わってくる。だから働いた時にもらえるお金も変わってくる。それをルールとして決めているのが最低賃金なんだね。

今回は日本の中での話だったけれど、実は世界の国々でも同じことが言える。

1つの国の中で賃金がちがうのはあたりまえのことで、もちろん国によっても違う。


日本よりもずっと安い賃金で働いている国はたくさんある。そこでは、日本よりもずっと安く食べ物などの商品が手に入るだろうし、生活にかかるお金も日本よりずっと安い。

反対に日本の何倍もの賃金をもらえる国もある。でもそこでは日本と同じ広さの家に住もうと思ったらものすごい高い家賃を払わなきゃいけなかったりする。

「かかるお金」と「もらえるお金」はつながっていて、生きていく場所によってそれは変わる


それは、生きる場所によって物や労働(働くこと)の価値がちがうから。

とっても不思議なようであたりまえなこと。

これは考えれば考えるほど、奥が深いことなんだ。

同じ人間で同じように働いているのに、住んでいる国が違うだけで全然もらえるお金がちがう…それってどういうことだろうか?

「人はみんな平等」っていうことと、どうちがっているのかな?

そんなふうに、いろんな向きから考えてみてほしい。

お買い物をする時、何かの値段を見る時、ものの価値について考えてみよう。

働く人を見た時、働くことの価値について考えてみよう。

そしてなにか面白いことに気付いたら、ぜひたぬきに報告してほしい。
いつでも待っているよ。


というわけで、今回は「最低賃金」についてのお話でした。

ではまた次回!


たぬき

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