性について悩んだり、分からないことがあった時。
子どもに、性について教えたいことがある時。
性について、自分で、あるいは子どもと一緒に考えたい時。
「性教育」の教科書は書店にも多くありますが、お金を出して本を買わなくても、インターネットでいつでも誰でもアクセスできる、素晴らしい教科書があります。
性教育は本来、どの国でもいつでも無料で手に入る情報でなければいけません。もちろん日本でも。
だから国際機関や行政、NPO団体などが公式に誰でも手に入る教材を作ってオープンに提供しています。
あまり知られていませんが、実は日本にはこうした性教育に関するコンテンツが豊富にあります。
今回はその中から、本当に役立つ教材やサイトを5つ紹介します。
教育現場やご家庭でぜひ活用してみてください。
※今回も紹介するサイトは全て無料のものに限り、当サイトも紹介するサイトから一切の利益を得ていません。
SEXOLOGY(セクソロジー)
セクソロジーは、性や人権について幅広く知ることができる「性の教科書」です。
これは国連のあらゆる機関が協力して作り上げた、世界で一つの性の教科書です。
どの国でも大切な性について、知識をひとつの教科書のようにまとめています。
UNESCO(国連の中で教育について働いているチーム)が出している文章はすごく難しいのですが、それを分かりやすく図や動画でまとめたものがセクソロジーのサイトにあります。
「月経」、「避妊」、「性暴力」、「ジェンダー」など、たくさんの項目についてイラストとともに分かりやすく教えてくれます。
自分の性がよく分からない、もっと知りたいと思った時にも役立ちます。
性についての知識をチェックできるテストや、動画での解説も見ることができます。
国連が作っているものと聞くとかたくるしいものをイメージしますが、とても気軽に見やすいサイトになっています。
↓サイトはこちら↓
HUMAN+(ヒューマンプラス)
「HUMAN+ ~男と女のディクショナリー~」は、日本産科婦人科学会が作った性の教科書です。
産科と聞くと妊娠・出産のことだけかと思うかもしれませんが、
ジェンダーや多様な生き方、性同一性障害、性感染症のワクチン、DV、ダイエットなど、幅広く性について学ぶことができます。
妊娠や出産が女性だけがかかわるものではないことから、男性・男の子にも読んでほしい教科書として丁寧に分かりやすく作られています。
また、女性が生涯で直面する様々な性のトラブルについてとても詳しく解説されています。
「女性だから性についてはある程度わかっている」という女性でも、「これは知らなかった」ということがたくさん載っているはずです。
たとえば「加齢と妊娠のリスク」、「母子手帳のもらい方」、「女性に多いがんと、がん検診はいつから受けたらいいのか」など、今すぐではないけれど先に知っておけば後から役立つ知識が多く載っています。
小中学生、高校生の女の子にはぜひ知っておいてほしい情報です。
こういった学校の保健の授業だけでは見落としてしまう具体的なポイントをすくい上げている、非常に役立つ教科書です。
こちらもウェブ上で常に公開されているので誰でも見ることができます。
ページ数は多いですが、必要なページのみ使用したり、全体を印刷して本のようにとじることもできます。
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LGBTER(エルジービーター)
LGBTについての国内最大級のインタビューサイトです。
様々な性をもつ人たちの考え方や生き方を知ることができます。
とくに、性について「自分だけなのかな?」と悩んだ人にのぞいてみてほしいサイトです。
性って本当にいろいろな形があって、それがあたりまえなんだということ、あなたは一人じゃないということを教えてくれます。
子ども向けの性教育と言うと「解説書」のようなものをイメージするかもしれませんが、こういった当事者の声をそのまま聴かせること、その上で考えさせることも非常に大切なことです。
とくに周囲に性的マイノリティがいない、あるいはいないと思っているお子さんにぜひ触れさせたいサイトです。
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つながるBOOK
性についての基本的な疑問に分かりやすく答えてくれるサイトです。
厚生労働省の補助によって産婦人科や助産師などの専門家によって作られたものです。
とくに性について目覚め始めた思春期に、性交渉のリスクについて学ぶのに非常に役立ちます。
・付き合ったら必ずセックスしなきゃいけないの?
・付き合った相手と避妊せず性交渉をしてしまった…
・SNSで知り合った人と性交渉をしたけど…
・月経が来ない…これって妊娠?
など、性の思わぬトラブルから子どもを守るために役立つ情報がつまっています。
子どもが恋愛をし、性的なことに興味を持つことはごく自然なことで、そのタイミングは大人が考えているよりもずっと早かったりします。
中学校の保健の教科書に内容は近しいですが、1問1答の形式で見やすいサイトになっているので、子どもたちが性について学ぶハードルを下げることができます。
冊子として印刷することもできますし、サイトの閲覧であれば興味のある項目だけ開いて読むことができるのも使いやすい点です。
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セイシル
性の悩みや問題のない社会を目指して活動している会社「TENGAヘルスケア」が運営しているサイトです。
「女性のからだ」、「男性のからだ」、「多様な性」などの豊富な項目から、「生理不順」、「性のカミングアウト」などのさらに細かいテーマを選んで読むことができます。
提供している情報が豊富で、大きなテーマから具体的な相談まで、様々な疑問を解決できるサイトです。
また、みんなの性に関するモヤモヤした体験を募集して紹介しているため、当事者の声を聴くことができる場でもあります。
もちろん匿名で自身の体験や相談を投稿することもできます。
他の人の悩み事を見ているうちに、「自分も同じ疑問を持っている」と気付いたり、解決したりすることができるのも大きなメリットですね。
↓サイトはこちら↓
というわけで、今回はウェブ上で読める、本当に役立つ性教育の教科書について紹介していきました。
日本の性教育は他の先進国に比べて遅れていると言われています。
義務教育や高等学校での性教育も地域差、学校間の差でまだまだ不十分なところがあります。
それでも、性教育は人生を左右する大事なもの。そして、タイムリミットがあります。
子どもたちが性で悩み苦しむ前に、大人や社会がより真剣に効率的に伝える必要があります。
そのためにも、こうした分かりやすい教科書を積極的に活用していきたいですね。
無理に教え込もうとしなくても、性についてコミュニケーションをとるのが難しい時期であれば、リンクを送るなどしてサイトの存在を知らせるだけでも一歩です。
教科書を渡しても読まないけれど、面白そうなサイトなら少しのぞいてくれるかもしれない。
そんな始まりでも良いと思います。
それではまた次回お会いしましょう。
たぬき
※Icoi(当サイト) はこうした子どもに大切な情報や教育が、どの地域でも、どんな経済状況の子どもにも届くことを目指しています。
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