たぬき通信5 大人になった、と感じる瞬間はいつですか?

【読みもの】


まだ6月ですが、すっかり夏らしい日が増えてきましたね。

先日、暑い中ショッピングモールを歩いていたらサーティーワンアイスクリームの看板を見つけて吸い込まれるように入店しました。


そこでメニューを見ながら、ふと子どもの頃のことを思い出しました。

子どもの頃、近所にサーティーワンがあって、お小遣いが溜まるとそれを持って買いに行っていました。そこで毎月の新作を食べるのが楽しみだったんですよね。

サーティーワンのメニューで食べたことが無いものってほとんど無かったように思います。

それくらい、すべての味を試してみたかったし、新しいものを知りたいという気持ちが強かったんです。

『一度食べて美味しかったメニューよりも、新しいメニューを試したい。』というのが、子どもの頃からの基本的なパターンでした。

食べ物を買う時以外でもそれは同じで、一度観た映画を観返すことはほとんどなく、本も一度読んだら気に入って本棚に入れてもそのまま開かないことばかり。そんな子どもでした。


そんな子ども時代を思い出して、あれ?と思ったのです。

いつの間にか私は、『自分のお気に入りの物を繰り返し楽しむ』ようになっていることに気付きました。

好きな映画を何度も見たり、懐かしいドラマの再放送を見たり、詩集を持ち歩いて毎日読んだり。

まぎれもなく一番好きなポッピングシャワーを注文しようとしていたり。

昔とは全然、向き合い方が変わっていることに驚きました。

それで、すっかり『大人になったな』と思ったのです。

お気に入りを楽しめるようになったのが大人ということではないんです。

物事との向き合い方が大きく変化したこと、変化できるほどに芯に柔らかさを持てたことが、私にとっての大人への一歩でした。

そんな話をしたら、一緒にアイスを食べていたパートナーは逆だと言います。

ご飯でも映画でも趣味でも、自分にとっての定番を愛する傾向にあったけれど、最近は新しいものとの出会いを優先することが増えた。と。

初めて食べるフレーバーのアイスを食べて「意外と美味しい、でもいつもの味がやっぱり美味しい」なんて言いながら。

向きは逆だけれど、それもまた芯の柔らかさであって、大人への変化だと思うんですよね。

とある小学生の男の子に、「大人って楽しい?」と、聞かれたことがあります。

「俺いますっごい楽しいから、きっと大人になってもこれ以上楽しいわけがないと思う」と。

「大人になったら、また違った種類の楽しさがあるよ、種類が違うからどっちが楽しいかは比べるのが難しいんだけれどね」

そんなようなことを答えた記憶があるのですが、その時伝えたかった楽しさの一つが、こうした「芯が柔らかくなることで物事の幅が広がる」ということだったのかもしれません。

その時は上手く伝えられなかったけれど、彼が大人になっていく中で同じような発見をしてくれたら面白いなあと思います。

大人になるの、楽しいよ。面白いよ。だって広がっていくから。


あなたが(子どもでも大人でも)、前より大人になったなあと感じる時はいつですか?




たぬき

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